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エピルビシン(抗がん性抗生物質)

商品名(製造・販売会社)

  • エピルビシン塩酸塩(メルク・ホエイ、日本化薬)
  • ファモルビシン(ファイザー)
  • ファモルビシンRTU(ファイザー、協和発酵)

アントラサイクリン系の抗生物質として、ドキソルビシンよりも心臓障害の軽い薬を目指して開発された抗がん剤です。DNAの螺旋構造の間に入り込んでその合成を阻害するとともに、酵素の働きを抑制して、DNAを切断します。

適応となるがん
急性白血病、悪性リンパ腫、乳がん、卵巣がん、胃がん、肝臓がん、膀胱がんに用いられます。
併用、単独など投与法もさまざまで、広い適用を持っていますが、その中でも特に乳がんの治療において重要な役割を担っています。

現在、乳がんに対する化学療法としては、CAF療法、CEF療法といった組み合わせが標準治療として行なわれています。

CAF療法は、シクロホスファミド(エンドキサン)、ドキソルビシン(アドリアシン)、フルオロウラシル(5-FU)の3剤併用療法で、CEF療法は、このうちドキソルビシンをエピルビシンに置き換えたものです。

CEF療法は、以前より乳がんの有効な治療法として国際的に広く用いられてきた治療でしたが、2005年に、EC療法(エピルビシンとシクロホスファミドの2剤併用療法)と合わせて、乳がんに対する併用療法としての適応も新たに認められました。

エピルビシンはドキソルビシンと似た性質を持つため、ドキソルビシンに替えて用いられることが多くあります。例えば、M-VAC療法(メトトレキサートビンブラスチン、ドキソルビシン、シスプラチンの4剤併用療法)は、某睾丸の代表的な化学療法ですが、エピルビシンを用いたM-VAC療法も同程度の成績が期待できるとされています。

そのほか、肝臓がんでは冠動脈塞栓療法(血管からの栄養補給を断って、がんを兵糧攻めにします)に組み合わせて、動脈内注射よりエピルビシンなどの抗がん剤を注入する方法が一般的に行なわれています。

主な副作用
強い骨髄抑制を持つ薬なので、感染症や貧血、出血傾向などに注意が必要です。また、アントラサイクイン系の共通点として、心臓に障害を及ぼしやすい特徴があります。

一般的な副作用としては、吐き気・嘔吐、口内炎、脱毛の発生頻度が高いとされています。そのほか、頭痛や発熱、寒気、発疹、筋肉痛、肝機能や腎機能の低下がみられることがあります。

使用上の注意点
投与量の限界を超えたり、ほかのアントラサイクリン系の薬との併用によってうっ血性心不全など重い心臓障害を生じる恐れがあります。また胃酸分泌を抑えるシメチジンは、エピルビシンのAUC(血中薬物量の変化指標)を増加させることがあります。