前立腺がんに対する小線源療法の効果と副作用

放射線を発生する線源を前立腺内に挿入することで、腺内に集中して照射する治療法ですので、大きな効果が期待できます。アメリカでの10年間の治療実績では前立腺全摘出手術を行なった場合とほぼ同程度の治療効果となっています。

身体への負担も少なく手術に比べて軽く、入院期間も3泊4日と短くて済みます。前立腺全摘出手術では2週間程度の入院としばらくの自宅療養が、また放射線外照射では、週5日の通院を6〜8週間程度続ける必要がある点と比較すると、いかに負担が少ないかがわかります。

治療後の性機能も約70%の人で維持されると報告されています。ホルモン療法では性機能はほとんどの場合に失われますし、前立腺全摘手術において神経温存手術を試みても性機能が保たれる率は30〜40%程度といわれています。放射線の外照射の場合でも性機能が保たれる率は50%程度とされていますので、この数字は非常に優秀です。

副作用は治療直後から現れる急性期の副作用と、半年前後から2年ほどの間に現れる晩期の副作用があります。具体的な症状として早期に現れる可能性のある症状は排尿困難、排尿痛、肛門痛、血尿、頻尿ですが、多くはあっても軽いもので長続きしません。

また晩期に現れるものは放射線の組織障害によるもので、血尿、尿意切迫、排尿困難などの排尿障害、直腸出血、肛門痛などがみられます。経過観察でよい場合が多いですが、外科的治療が必要なケースもあります。