前立腺がんの小線源療法とは?

脂肪の多い欧米スタイルの食生活や高齢化社会により、前立腺がんは増加しています。スクリーニング(ふるい分け)検査であるPSA(前立腺特異抗原)検診の普及により、臨床的にも画像診断でも指摘できない早期の前立腺がんが発見される機械が増えたことも大きな理由です。

前立腺がんの治療方法としては、外科療法、放射線療法、ホルモン療法があります。小線源療法はこの放射線療法の一つで、前立腺の中に、直接放射性同位元素(ヨウ素125)を埋め込んで、がんを中から殺してしまおうという方法です。別名ブラキセラピーとも呼ばれています。

従来のように体の外から放射線を照射する場合には、放射線が体内で吸収されるため、強いエネルギーで照射する必要があります。そのため、前立腺の周囲の組織にも放射線がかかり、放射線に弱い直腸・膀胱・皮膚などに放射線障害が起こります。

一方、小線源療法では、線源であるヨウ素125のエネルギーが弱いため、前立腺内には十分な量の照射を行いながら前立腺周囲への照射量を少なく抑えられます。そのため、直腸や膀胱での放射線障害の起こる可能性も低くなっています。

また、体の外から放射線を照射する場合には、長期間にわたる通院を必要としますが、小線源治療ではたった1回の刺入で全ての治療が終了します。

適応となるのは、転移や浸潤がなく、がんが前立腺内に限局している早期がんです。前立腺全摘手術後に再発した例や、放射線治療後の再発例ではこの治療は施行できません。

2008年現在、全国約70の病院でこの治療を受けることができます。保険の適用になっていますので、治療は保険診療となります。