大腸がんで使用する抗がん剤

大腸がんは、早期なら手術で治りやすいがんですが、転移や再発によって手術不能な場合には、抗がん剤治療が中心となります。近年は、新しい組み合わせによって、がんの縮小、症状コントロール、再発予防、延命、QOL向上などの効果が報告されています。

フルオロウラシルとレボホリナートカルシウムという2種類の薬を組み合わせる5-FU/l-LV療法が中心でしたが、最近では最近では、これにオキサリプラチンを加えたFOLFOX4療法、イリノテカンを加えたFOLFIRI療法が標準治療となりつつあります。なお、FOLFIRI療法と同じ組み合わせで、投与スケジュールが異なるIFL療法もよく行われます。

2007年6月、大腸がんの抗がん剤治療において、ベバシズマブ(商品名:アバスチン)に健康保険が適用されました。ベバシズマブは「分子標的治療薬」で、がん細胞のみに作用する性質があります。

ベマシズマブは、進行がんや再発がんに対して使用されます。単独では用いず、前述の2剤併用あるいは3剤併用の組み合わせに加える形で使用します。海外の臨床試験では、FOLFOX療法(フルオロウラシル+レボホリナート+オキサリプラチン)にベバシズマブを加えると、加えない場合より生存期間が平均で5ヶ月長くなったという結果が出ています。

ただし、この薬の使用は高額なので、十分に検討して使う必要があります。また、ベマシズマブを使用すると高血圧が多く現れ、まれに血栓ができたり、消化管に孔が開くといった重篤な副作用が現れることもあります。

2008年7月に承認された、同じく進行がんや再発がんを対象としたセツキシマブ(商品名:アービタックス)も、ベバシズマブと同じく、FOLFOX療法に上乗せして使用されると予想されています。また、第三の分子標的薬としてパニツムマブ(商品名:ベクチビックス)も2010年に承認されました。