食道がんで使用する抗がん剤

現在では、シスプラチンフルオロウラシル(5-FU)の2剤を組み合わせたPF療法が最も広く用いられており、がんが消失する例もみられます。これらを点滴で4〜5日間投与し、効果があるようなら、3〜4週間のサイクルで繰り返します。

フルオロウラシルとシスプラチンはいずれも放射線増感作用があり、放射線と同時に投与するか、もしくは先行して投与することで、がん細胞の放射線に対する感受性が向上するとされています。この化学療法と放射線治療の併用は、手術ができない進行がん患者だけでなく、手術の前後にも行われています。

また、プラチナ製剤のネダプラチンが食道がんに対して、シスプラチンと同等、もしくはそれ以上の効果を示すことがわかりました。この薬はシスプラチンほど腎臓や消化器への影響もないとされているので、今後シスプラチンにとって代わるかもしれません。

近年、新たに植物アルカロイドのドセタキセルの食道がんに対する使用が認められました。ドセタキセルは、細胞分裂の際に染色体を新生細胞へ運ぶ微小管に作用して、がん細胞の増殖を阻害しする働きがあります。
また、ゲフィチニブやセツキシマブなど分子標的薬の臨床試験も行われており、効果が期待されています。