膵臓がんで使用する抗がん剤

膵臓がんの完治には手術が必要ですが、早期発見が難しいという特徴があるため、がんであることがわかった時点では、既に手術が不可能なケースが多くなっています。そのため、抗がん剤は、主に手術ができない場合や、手術後の再発防止を目的に使用されます。

膵臓がんの化学療法は、以前はフルオロウラシル(5-FU)が用いられていました。その後、2001年にゲムシタビン(ジェムザール)という薬が承認され、保険治療が行えるようになりました。この薬は週1回、30分程度の点滴ですむため、外来治療もできます。

ゲムシタビンが使用できるようになったことで、以前に比べて予後が良好になっています。切除不能な進行膵臓がんの患者さんを対照にした海外の臨床試験では、フルオロウラシルの1年生存率が2%であったのに対し、ゲムシタビンは18%と、有意に優れていることがわかりました。

日本膵臓学会がまとめた膵臓がんの「診療ガイドライン」では、現在のところ、ゲムシタビンの使用が標準治療として推奨されています。

新たな抗がん剤の承認も進んでいます。2006年には、胃がんなどの治療で使用を認められていたテガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤(TS-1)の膵臓がんでの保険適用が承認されました。