粒子線治療の対象となるがん:悪性黒色腫、肝臓がんなど

どんな治療法にも向き、不向きがあるように、粒子線治療にも対象となるがんとそうではないものがあります。

従来のX線では治りにくいが、粒子線なら非常に高い確率で治るがんは「絶対的適応」と分類され、ほくろのがんとも言われる悪性黒色腫、体幹部骨・軟部組織肉腫、頭蓋底腫瘍、そして肝臓がんが該当します。

そのひとつ下のレベルになるのが、X線でも治るが、粒子線の方がより高い確率で治すことができるという「適応」と分類されるもので、進行した頭頚部がん、前立腺がん、肺がん、子宮がん、膵臓がん、局所再発した直腸がんが該当します。

一方、胃がん、大腸がん、食道がんなどは、正常な部位も壁が薄いので、粒子線を当てれば、そこにできたがんは消えてしまっても、壁に穴が開いたりします。これでは治療になりませんので、これら3つのがんは現在のところ対象外となっています。

通常のX線の最先端治療を受けるか、粒子線を受けるかにあって考慮する大きな問題は、地理的なことです。粒子線治療が受けられる施設は国内で7箇所しかありませんので、遠いところまで時間をかけて出かけるというのは非常に大きなハンデとなります。

また費用の問題も無視できません。通常のX線治療は保険適応で、最大でも15万円前後の負担となっていますが、粒子線治療は保険適応になっていないため、300万円前後が全額自己負担となります。