大腸がんの腹腔鏡手術のメリットとデメリット

メリットとしては、まずお腹にあける傷が小さくてすみます。開腹手術で大腸を切除する場合は、術後も10cm以上の傷が残ります。一方、腹腔鏡手術の場合は、大腸を取り出す最も多き穴でも4〜5cmの傷ですみます。他の、鉗子や腹腔鏡陽の穴は5mmぐらいで、時間が経つうちにほとんどわからなくなります。

痛みが少ないので、術後の回復が早く、早期の退院と社会復帰が可能になります。また、食事も3〜4日で普通の食事ができます。

さらに、手術後の主な合併症である腸閉塞が減少するのも、メリットの一つです。

一方、開腹手術では医師は視野を広くとることができ、手術の感触を手でつかむことができますが、腹腔鏡手術では患部に直接手で触れることができません。

医師は、モニターで画像を見ながら、長い手術用の処置具を介して手術を行なうため、患者さんの体の深さの感覚や、自分の手と処置具の動きとの協調関係になれる必要があります。

また、カメラの視野外でミスが起こっても発見が困難というデメリットもあります。

腹腔鏡手術は近年開発された手術手技であり、特殊な技術・トレーニングを必要とし、外科医のだれもが安全に施行できるわけではありません。この手術の技術認定制度を設ける日本内視鏡外科学会が発表している技術認定の結果では、大腸の合格率は特に低くなっています。

腹腔鏡手術を希望する場合、大腸がん手術で技術認定を受けた外科医がいるかどうかを同学会のホームページでチェックしておくのが、病院選びの重要な手がかりになるといえるでしょう。