ゲフィチニブ(分子標的薬)

商品名(製造・販売会社)

  • イレッサ(アストラゼネカ)

イギリスのアストラゼネカ社が開発し、世界に先駆けて日本で承認された分子標的薬です。がん細胞の増殖を促進するチロシンキナーゼという酵素の働きを阻害します。

発売当初は、効果が高く副作用が少ない画期的な抗がん剤として注目されましたが、副作用などに対する十分な認識がないまま安易に投与されたケースが多かったこともあり、間質性肺炎による死者が相次いで問題になりました。

適応となるがん
ほかの抗がん剤の治療効果がなく、手術が不可能な再発した非小細胞肺がん。非喫煙女性の腺がんの症例に有効性があるとする報告もあります。

主な副作用
イレッサが原因と考えられる間質性肺炎(肺線維症)や急性肺障害という薬剤性肺炎が多発する事態になったのを受け、国内でイレッサを服用した4000人以上の患者さんを対象に、大規模な追跡調査が行われました。

2006年、その結果が報告され、イレッサを服用して間質性肺炎や急性肺障害を発症した人は約4%で、亡くなった人は約1.6%であることがわかりました。

そして、これらの調査結果を詳しく分析することによって、イレッサの効きやすい人と、間質性肺炎や急性肺障害などの重い副作用が起こりやすい人がいることがわかってきました。

これまでの調査では、イレッサが効きやすいタイプとして「女性」「腺がん」「喫煙歴がない」「東アジアの人」「EGFR(上皮細胞成長因子受容体)に変異がある」などの項目があげられています。

EGFRに変異がある人では、受容体の形がイレッサと結合しやすい形になっているので、効果が高まると考えられています。特に、女性や腺がんの患者さん、喫煙歴のない人、日本や韓国などの東アジアの人では、EGFRの変異が比較的多く認められています。

「間質性肺炎がある」「喫煙歴がある」「体力が低下している」などに該当する人は、イレッサを服用すると重い副作用を起こしやすいことがわかっています。使用については、担当医とよく話し合って決めることが大切です。

なお、一般的な副作用としては、発疹やかゆみ、下痢などがよくみられます。吐き気や脱毛などは、シスプラチンなどと比べると軽いとされています。

使用上の注意点
肺障害のある人や、他剤または食品などとの併用で副作用が増強されることがあります。

相互作用が生じる可能性のある食品や薬剤には、1.抗てんかん剤フェニトインやカルバマゼピン、2.睡眠剤などのバルビツール酸系薬剤、3.ゲムシタビンによる治療歴がある、4.グレープフルーツ、5.抗血液凝固剤ワルファリンカリウムなどです。

2011年11月1日補足:同剤の使用に際して、患者さんに事前の遺伝子検査を義務づけ、特定の遺伝子変異が認められた場合に限って、原則的に公的医療保険が適用されることになりました。また、遺伝子変異のある人には、最初の治療からイレッサを使用することも認められました。