脱毛の副作用が起こりやすい抗がん剤のリスト

抗がん剤は、血液の中に入って体全体を回り、がん細胞に作用するものなので、がん細胞以外の正常な組織にも作用することになります。

抗がん剤は、細胞が分裂しているときに影響を与えるため、がん細胞のほかに、細胞分裂が激しく成長が早い爪や髪の毛、口や胃などの粘膜、血液の元となる骨髄の細胞などに影響を与えます。

医療用かつらの選び方

そのなかで、髪の毛の根本にある毛母細胞へ影響することによって髪の毛が抜けるのが、副作用の苦痛度ナンバーワンとされる「脱毛」です。毛髪をつくる細胞がダメージを受けるために、眉毛、まつ毛の脱毛が起こることがあります。

下の表は脱毛の副作用が現れやすい抗がん剤とその発現率を示したものです。投与方法では、大量間欠静注の場合に脱毛が著しく、少量の連日投与または週1回投与では、総投与量に関係なく程度は軽いとされています。

種別 一般名 商品名 脱毛発現率
アルキル化剤 シクロホスファミド
イホスファミド
エンドキサン
イホマイド
24.3%
51.2%
代謝拮抗剤 メトトレキサート
フルオロウラシル
アクチノマイシンD
メソトレキセート
5-FU
コスメゲン
14.0%
3.7%
33.7%
抗がん性抗生物質 ドキソルビシン
エピルビシン
ブレオマイシン
アドリアシン
ファルモルビシン
ブレオ
61.6%
65.1%
27.7%
植物アルカロイド ビンクリスチン
ビンデシン
エトポシド
同上
イリノテカン
パクリタキセル
ドセタキセル
オンコビン
フィルデシン
ラステット
ベプシド
カンプト、トポテシン
タキソール
タキソテール
41.9%
19.7%
75.7%
67.5%
50.3%
73.5%
78.4%
その他 ミトキサントロン
シスプラチン
カルボプラチン
ノバントロン
ランダ、ブリプラチン
パラプラチン
11.5%
3.6%
9.8%

一般に、脱毛は治療開始後2〜3週間で始まり、最終治療後2〜3ヶ月ほどで回復し始めますが、日本国内では有効な予防法は確立されていません。

海外では、頭皮を冷却することで抗がん剤の影響を最小限に抑える(=脱毛を予防・軽減する)という「冷却帽子」が販売認可を受けていますが、日本では認可されていません。

治療が終わりさえすれば半年〜1年くらいで、ウィッグ(かつら)が全く必要ないくらいに自毛が生えてきますが、再び生えてきた髪の毛は、以前と比べると細く、柔らかくなったり、白い、茶色いなどの質や色などが異なってくることもあります。

脱毛を経験したがん患者さんのインタビュー動画

脱毛は、命に直接かかわる問題ではありませんので、脱毛が強いからといって抗がん剤治療を中止することはほとんどありません。

しかし、髪の毛が少なくなることにより、患者さん(特に女性の場合)は精神的な苦痛を受けることが予想されるので、あらかじめ心の準備をしておくことも大事とされています。

以下に抗がん剤治療によって実際に脱毛を経験された患者さんのインタビュー動画(YouTube)を2本掲載していますので、患者さんご本人やケアにあたるご家族の皆さんの参考になればと思います。

乳がん体験者(診断時は40代)

乳がん体験者(診断時は20代)

動画の配信元は、患者さんや医療関係者に対してがん医療情報の提供を行っているNPO法人キャンサーネットジャパンです。動画タイトルは「化学療法を体験したみんなに脱毛のことを聞いてみた」でした。

抗がん剤の投与中・投与後のヘアケアのポイント

抗がん剤治療が始まる前に髪を短くカットしておくと、脱毛が始まっても目立ちにくいうえ、抜ける量が少なく感じられるので、精神的なショックをある程度は和らげることができます。

化学療法の専門医

使用する抗がん剤や体質によっても異なりますが、だいだい抗がん剤治療を開始してから2〜3週間くらいすると副作用による脱毛がはじまります。脱毛が始まったら、頭皮を清潔な状態にキープすることが大切です。

頭皮の脂肪は顔の3倍ほどあるので、脱毛中にケアを怠っているとフケ、かゆみ、痛みなどの頭皮トラブルの原因となります。髪の毛は夜中から朝の時間帯(3時〜9時)にかけて伸びるので、体調が悪くないのであれば夜間に1日1回の頻度でシャンプーをしましょう。

頭皮用のシャンプーは液体の状態でそのまま頭に使用するのではなく、ネットなどで泡立ててから頭につけて、指の腹で優しくマッサージするように洗います。ドライヤーは常に低温設定にして、頭皮と毛髪に刺激を与えないようにしましょう。ブラシはできるだけ毛先がやわらかく、目の荒いものがお勧めです。

「脱毛が気になるから」という理由で抗がん剤の投与期間中に市販の発毛剤や育毛剤を使用するのは控えてください。

使用する抗がん剤、あるいは個人差によって眉毛に脱毛がおきることがあります。眉毛の場合は、ハンカチなどで汗をぬぐっても消えないタイプのアイブローライナーなどを選ぶとよいでしょう。

頭皮マッサージ

抗がん剤の投与が終了してから1〜2か月経ち、頭皮トラブルがないのであれば、育毛を促進する目的で頭皮マッサージを行います。マッサージは耳の周囲に手を置き、指(5本)の腹を使って頭皮を上向きに引き上げるようにします(1回5秒を4セット)。

たとえ頭皮トラブルがなくても、頭皮はまだまだ刺激に敏感な状態ですので、白髪染めやパーマ液は絶対に使用しないでください。

好みのヘアスタイルを維持!医療用ウィッグを選び方

スカーフやバンダナ、帽子などのほか、今までどおりのヘアスタイルを希望するのであれば、医療用のウィッグ(かつら)も豊富なバリエーションが用意されています。

抜け毛をカバーするかつら

注意が必要なのは、市販されているウィッグの大半は帽子感覚で気軽に楽しめる、いわゆる「おしゃれ用ウィッグ」だということです。

おしゃれ用ウィッグはパチンとワンタッチで自分の髪に留めるだけのタイプとなっていますが、抗がん剤の副作用で脱毛している患者さんは留める髪がほとんどないため、このタイプのウィッグは着用することが困難なのです。

ウィッグを選ぶ際には、抗がん剤治療で敏感になっている皮膚に優しい素材を使用したり、通気性に優れている「医療用のウィッグ」を選択するのが賢明です。

フルオーダー、既製品またはセミオーダー、素材などによって価格は様々ですが、以下に素材別の特徴をまとめてみました。

- 合成素材 人毛 合成素材と人毛の混合
素材 ポリ塩化ビニルなど 人毛を特殊加工 合成素材と人毛のミックス
質感 光の下で光沢がでる ツヤのないマットな質感 人毛に近いごく自然な質感
特徴 スタイルが崩れにくい。カールやアレンジを長くキープできる。 カット、パーマなどのアレンジが自由にできる。洗うとスタイルが保持できない。 カットアレンジが自由にできる。洗ってもカールなどデザインがキープできる。
価格 3〜6万円程度 12〜18万円程度 14〜23万円程度

医療用ウィッグを選ぶ際のポイントは、1日中着用しても疲れない「軽さ」、髪の量に合わせた「サイズ調整」ができる、見た目が自然な「スタイルと素材」などです。

特にサイズ調整ができないとつけ心地に違和感がでてくるので、試着が十分にできたり、専門家によるアフターケアがしっかりしているサービスを選ぶようにしましょう。