頭頚部がんはトモセラピーで安全性の高い治療が可能になりました

正常な組織にもダメージを与えることがあるという、放射線治療の副作用の観点から考えると、頭頚部は危険臓器が多く存在する部位です。

こうした部位にIMRT(強度変調放射線治療)は大きな力を発揮します。脊髄や唾液腺などへ当たる放射線量を少なくすることで、副作用を最小限に抑えつつ、病変部により多くの放射線を当てることができるからです。

対象は主に上咽頭がん、中咽頭がん、鼻腔・副鼻腔がんなどですが、これらの疾患は通常の放射線治療では視神経・視交叉、脳幹、脊髄、唾液腺といった正常組織の放射線量の制限によって、病変に十分に当てられない、あるいはダメージが残るという限界がありました。

しかし、トモセラピーを用いることで十分量の正確な放射線投与ができると同時に、正常組織の放射線を極めて低く抑えられ、非常に安全性の高い治療が可能になりました。

副作用や後遺症も、ほとんど心配することはありません。その一つとして、これまで、がんが治癒した後に患者さんを悩ませていた重度の口の渇き、大幅に改善させることができるようになりました。