将来性は非常に高い腫瘍内科医の現状と転職のポイント
がん医療の総合内科医である腫瘍内科医のお仕事と将来性、そして求人に強い転職支援サイトを紹介しています。
手術、放射線治療と並んでがんの治療の三大柱である抗がん剤治療。抗がん剤は近年注目されている分子標的薬をはじめ100種類以上あり、その適応や副作用に対する対応は薬剤によって異なるため、本内ならば抗がん剤の専門である「腫瘍内科医」が扱うべき領域です。
日本では比較的新しい診療科である腫瘍内科ですが、欧米諸国では30年以上前に専門医制度を確立しており、がんと診断された患者さんはまず腫瘍内科に送られます。がんの患者数は多いので、大学病院は勿論、ほとんどの一般病院でも循環器内科と同じくらいの規模を誇っています。
しかし、日本では「がん薬物療法専門医」、すなわち腫瘍内科の専門医制度ができたのが2005年ということもあり、腫瘍内科医が存分に活躍できる診療科を有している病院はまだ少ないのが実状です。
腫瘍内科医の数もアメリカが約14,000人であるのに対し、日本では1,600人(2022年4月現在:数値は日本臨床腫瘍学会より)に過ぎず、厚生労働省が認定している「がん拠点病院」であっても、腫瘍内科医の在籍がゼロという病院も珍しくありません。
腫瘍内科医の数が少ないため、日本では現在でも抗がん剤治療は外科医が担当することが大半ですし、「副作用が怖いから」という理由で安易に減量投与されるのも専門家の乏しい日本ならではの事例です。いずれも欧米先進国の医師の目にはとても異質に見えるようです。
日本が遅れをとった原因としては、国のがん対策が遅れたことや、腫瘍内科が「臓器横断的」な診療科という性質のため、各診療科のセクショナリズムが強い日本では受け入れられるのに時間がかかっている、などが考えられます。
しかし、がん診療は、そもそも単一の診療科で担当する疾患ではなく、外科や放射線治療科、精神腫瘍科、緩和ケア科、腫瘍内科と複数の診療科でチーム医療として取り組むことが大切です。
また、再発・転移した場合には「全身疾患」となるため、全身的なマネジメントも欠かせません。例えば、がんの転移で胸水が溜まったら、排液の必要があります。また、心膜への転移では心嚢水の排液が必要となります。また、脳脊髄膜に転移したら、髄腔内に抗がん剤を投与すべきかを検討します。このように、全身の管理が不可欠なため、全身を診ることのできる内科医の知識・技量が求められるのです。
がんの治療とケアの流れを考えた場合に、がん医療を総合的に担当できる医師がいれば、患者は、総合内科の教育を受けた腫瘍内科医の適切な判断によって、手術が必要な場合には外科医、放射線治療が必要な場合には放射線科に紹介され、チームで最適な治療を受けることができます。
腫瘍内科医は最新の科学的根拠に基づく標準薬物療法を実施しますが、がん治療全体をコーディネートして、全身管理を行う専門医として、患者一人ひとりに最適な医療を提供することができます。がん医療の中心が外科医であることは現在も変わりありませんが、各科横断的ながん薬物療法を専門に行う医師がいることで院内のコンサルテーションは容易になりますし、また内科医は各科連携のハブとして患者に対するケアを上手くコーディネートしていく存在になり得ます。
現在、がんは日本人の死亡原因の第1位であり、その数は近年ますます増加の一途を辿っています。それに比例して、がんの幅広い知識を有する腫瘍内科医の治療を受けたいという患者のニーズも着実に増えており、今後、腫瘍内科を新設する民間総合病院や大学病院が増加することは間違いありません。
ただし、腫瘍内科の求人募集はまだまだ少ないのが現状です。新しく診療科を立ち上げる場合などは、先生と医療機関側の間で細かいすりあわせが必要なため、ウェブで公開募集を行わず、医師転職支援サービスに「非公開求人」の形で求人募集を依頼する医療機関も少なくないので、求人をお探しの方はこれらのサービスをご利用することをおすすめします。