広がる日帰り治療

これまでの抗がん剤治療では通常、入院が必要とされていました。その理由は、抗がん剤治療にともなってさまざまな副作用が起こる可能性があり、それに対応する必要があったからです。以前は、抗がん剤の種類も限られており、強い副作用によって、患者さんに大きな負担がかかることも多くありました。

最近は新しい抗がん剤が次々と開発され、薬の種類が増えるとともに、副作用が軽減される傾向にあります。また、副作用を抑える薬や対処法などが進歩したことなどによって、最近は患者さんの負担も軽減されるようになりました。

その結果、標準的治療とされている治療法の中でも、日帰り治療が可能なケースが増加してきました。日帰り治療が行われるのは、次のような場合です。

治療薬の効果がある
患者さんの病状に対し、効果が認められている抗がん剤があることが必要です。

患者さんの体力がある
自宅から医療機関に通院するので、患者さんには日常生活を送れる程度の体力が必要です。

医療機関が自宅に近い
突然強い副作用が現れたり、病状が急変するといった不測の事態が起こった際に、すぐに対処できるよう、自宅と医療機関との距離は近いほうが望ましいといえます。

なお、必ずしも「日帰り治療=安全な治療」というわけではないので、その薬物療法に習熟した医師によって治療が進められることが必要です。

現在、外来で行われる抗がん剤治療の対象となっているがんは、たくさんありますが、中心は「肺がん」「乳がん」「大腸がん」「悪性リンパ腫」などです。これらのがんの場合には、再発や転移の場合にも日帰り治療が行われています。