生物学的応答調節剤の一覧

体内の生物学的反応を引き出して治療を行う薬です。体の自然な防御システムである免疫反応を治療に結び付けようとすることから、免疫調節財とも呼ばれ、免疫賦活剤と、インターフェロンなどのサイトカインに大別されます。

免疫システムを刺激して、そのはたらきを活性させる薬を免疫賦活剤といいます。免疫作用全般の向上を狙って使用されるもので、特定のがんに対する免疫を高めるわけではありません。

一方、インターフェロンはウイルスに感染したとき、体内でそれに対抗するためにつくられる免疫物質のひとつです。インターフェロンは、がん細胞の特定の遺伝子が発言するように誘導したり、リンパ球の一種であるナチュラルキラー(NK)細胞のはたらきを活性化したり、患者の免疫反応を間接的に引き起こしたりして、がん細胞を攻撃すると考えられています。

インターフェロン-α(IFNα、オーアイエフ、スミフェロンほか)
アルファ(α)型は多発性骨髄腫や慢性骨髄性白血病、腎臓がん、一部の悪性リンパ腫に用いられます。

インターフェロン-β(IFNモチダ、フエロン)
ベータ(β)型はメラノーマ(悪性黒色腫)、脳腫瘍(膠芽腫、髄芽腫、星細胞腫)に用いられます。

インターフェロン-γ(イムノマックス-γ、オーガンマ、ビオガンマ)
ガンマ(γ)型は腎臓がん、成人T細胞白血病、菌状息肉症(悪性リンパ腫)に用いられます。

インターロイキン(イムネース、セロイク)
免疫系がん細胞を攻撃する際に中心となるT細胞の増殖を促進するとともに、がん細胞を破壊するNK(ナチュラルキラー)細胞の働きを高めます。

ウベニメクス(ベスタチン)
非特異的な免疫賦活作用を持つ薬で、マクロファージやNK(ナチュラルキラー)細胞などの免疫細胞の働きを高め、がん細胞の増殖を抑えるとされています。

乾燥BCG(イムノブラダー、イムシスト)
膀胱注入による治療が、表在性膀胱がんの初期治療の第1選択肢とみなされています。一般に再発リスクの高い患者に使用され、80〜90%でがん細胞が完全に消失するといわれています。

レンチナン(レナカット、レンチナン)
シイタケから抽出された多糖体(βグルカン)です。キラーT細胞、マクロファージ、NK(ナチュラルキラー)細胞などの働きを活性化させると考えられています。