がん別にみる抗がん剤

脳腫瘍
アルキル化剤のニムスチン(ニドラン)やラニムスチン(サイメリン)、そして2006年に承認されたテモゾロミド(テモダール)は、分子量が小さく血液脳関門を通過できるため、脳腫瘍の抗がん剤治療に使われています。

肺がん
肺がんに対する抗がん剤治療では、シスプラチンやカルボプラチンなどのプラチナ製剤に、別の抗がん剤を加えた二剤併用療法が標準的な治療法となっています。

乳がん
シクロホスファミド、メトレキサート、フルオロウラシルを組み合わせる「CMF療法」や、シクロホスファミド、ドキソルビシン、フルオロウラシルの組み合わせる「CAF療法」が行われます。

食道がん
シスプラチンとフルオロウラシルの組み合わせによるPF療法、あるいはこれに放射線療法を併用するのが、一般的な治療法です。

胃がん
胃がんは基本的に薬に対する感受性が乏しい、すなわち抗がん剤が効きにくいがんとされてきましたが、シスプラチンやイリノテカンの登場により化学療法の方法は大きく変わりつつあります。

胆嚢がん
これまで、抗がん剤の効果はあまり期待できませんでした。しかし最近では、塩酸ゲムシタビン(商品名:ジェムザール)が使われるようになり、治療成績は以前より上がってきています。

膵臓がん
日本膵臓学会がまとめた膵臓がんの「診療ガイドライン」では、現在のところ、ゲムシタビン(ジェムザール)の使用が標準治療として推奨されています。この薬が使用できるようになったことで、以前に比べて予後が良好になっています。

大腸がん
大腸がんに有効な抗がん剤は、フルオロウラシル、イリノテカン、オキサリプラチン、テガフール・ウラシルなどです。近年は、抗がん剤の新しい組み合わせによって、がんの縮小、症状コントロール、再発予防、延命、QOL向上などの効果が報告されています。

腎臓がん
腎臓がんは手術のみが完治を期待できる治療法で、抗がん剤の効果はあまり期待できないとされています。がんの転移が認められる場合には、インターフェロン・α(アルファ)が用いられます。

膀胱がん
膀胱がんに対しては抗がん剤が比較的効きやすく、半数以上の患者に治療効果が期待できる抗がん剤の併用療法が見つかっています。主に、膀胱内注入療法と全身化学療法が行われます。

前立腺がん
従来、前立腺がんには抗がん剤が効かないとされてきましたが、近年の研究ではドセタキセル(商品名:タキソテール)という抗がん剤が有効であることがわかってきました。

子宮がん
子宮頸がんによく行われる抗がん剤治療は、シスプラチンを基本とした併用療法です。子宮体がんには、シスプラチン、ドキソルビシン、シクロホスファミドを組み合わせる方法が一般的です。

卵巣がん
一般に卵巣がんは、抗がん剤がよく効くがんに分類されており、40%以上でがん細胞の完全消失が認められます。シスプラチンは手術不能な進行がんにも効果があり、単独または併用療法として広く用いられています。

白血病
急性白血病は、その種類にもよりますが、抗がん剤がよく効くため、白血病細胞を排除して、骨髄が正常な血液を作り出せる状態に戻し、完全に治すことが期待できます。慢性白血病は、多くの場合、慢性期では薬でコントロールでき、普通の生活が送れます。

多発性骨髄腫
最もよく使用されるのは、メルファラン(アルケラン)もしくはシクロホスファミド(エンドキサン)です。近年ではサリドマイドの有効性も証明されており、承認されたならな難治は再発の多発性骨髄腫に対して、救済治療の第一選択肢になりうると考えられています。