主治医以外の複数の医師に意見を聞くセカンドオピニオン

欧米先進国では、ごく当然の患者さんの権利として普及していますが、日本でもその重要性が言われ、セカンドオピニオン外来を開設する病院も増えてきました。

その背景には、医療の進歩に伴ってさまざまな治療法が生まれ、その結果、医師によって治療に対する考え方や判断が異なるということがあります。また、医師や病院それぞれに、医療技術や診療の質に差があることも考えられます。

例えば手術をするにもしても、その手術にどんなリスクがるのか、他に選択肢はないのか、患者さんは十分に知った上で行なうということが重要です。

セカンドオピニオンは、患者さんの最適な治療を受ける権利を守ると同時に、医師にとっても誤診を回避するなどのメリットをもたらします。いわば医療の安全にもつながるものなのです。

とはいえ、セカンドオピニオンは、患者さんと医師の良好なコミュニケーションで進めなければ意味がありません。それには、受ける側、受け入れる側、双方に一定のルールが必要となります。

主治医に申し出て、検査結果などの資料を入手しましょう

セカンドオピニオンは、がんである診断されてから最初に治療が始まるまでに受けます。再発した場合も同じことです。一度受けた治療は、それが後で最適な方法でないことがわかっても、元に戻すことはできません。がんが再発したり転移が見つかったりした場合も、セカンドオピニオンを受ければ、治療の選択肢が広がる場合があります。

公的な病院の多くで、セカンドオピニオン外来が設置されるようになりました。民間の病院でも進められつつあります。病院のホームページで調べることもできますが、電話で問い合わせることもできます。

セカンドオピニオンを上手に受けるためには、患者さん自身の心構えや準備がとても大切です。医師は患者さんの状態や状況を聞いた上で、患者さんから提出された資料に基づいて判断をします。主治医にセカンドオピニオンを申し出て、検査結果などの資料を入手した上でセカンドオピニオンを受けるようにします。

なお、主治医の医師の腕の良し悪し、過去に受けた手術の判断などの相談はセカンドオピニオンの範疇には入らないので、注意しましょう。また、保険適用外になりますので、全額自費扱いになります。60分で1万円前後のところが多いようです。

セカンドオピニオンの準備と手順

セカンドオピニオンを正しく認識し、ルールに従って準備をしないと、相手先に受け入れてもらえなかったり、二度手間になったりします。納得のいくものにするためには、それなりの準備と心構えが必要です。

1.患者さんは、自分の病気のことを正しく権利があり、医師には答える義務があります。効率的で有益なセカンドオピニオンを受けるためにも、わからないことがあれば、まず主治医にききましょう。

2.セカンドオピニオン外来を設置している病院などに電話をして、受け入れ体制を確認しましょう。

3.受け入れ先の医師が患者さんの正しい情報を得るために、主治医からの診療情報提供書が必要です。他に検査結果やエックス線フィルムなど参考になる診療情報をもらいましょう。

4.自分の病気をどこまで理解しているかで、医師に質問できる内容は変わってきますので、患者さん向けのわかりやすいがんの参考書などで、勉強しておきましょう。

5.現在のセカンドオピニオンは医師が診療時間を割いて対応しているケースが多く、時間が限られています。自分のがんの正しい情報を伝え、有益なアドバイスをもらうためにも、病気の経過や質問事項などをメモにまとめておきましょう。

6.セカンドオピニオンを受けたら、主治医に報告した上で、患者さん自身が治療法を決定するということが原則です。第二の意見を聞くことによって主治医の方針が納得でき、主治医に戻って治療を受けるケースは多いものですが、他の治療を選択した場合でも主治医に報告することがマナーです。