便秘が起こりやすい薬剤の一覧と対策

数多くある抗がん剤の中で、ごく限られた薬が便秘を起こすことがあります。とくにビンクリスチンは、末梢神経障害と自律神経障害を起こします。

下剤で便通を調整することも

便秘は自律神経障害の症状の一つで、ほかに腹痛などの腹部症状、頻尿、インポテンツ、起立性低血圧などが挙げられます。時に便秘から腸管の麻痺をきたし、腸管閉塞が致命的となることもあります。

これらの副作用が出現する時期は、数日後〜数ヵ月後以内と幅があり、たった1回の抗がん剤投与でも、2〜3週間後に、末梢神経障害である指先のしびれを自覚することがあるので、注意が必要です。

貧血が起こりやすい抗がん剤
最も便秘を起こしやすいのが植物アルカロイド系の薬剤で、先述のビンクリスチン、ビンデシンビンブラスチンビノレルビンなどが挙げられます。

このほか、シスプラチンパクリタキセルなどでも起こります。イリノテカンでは重い下痢の後に便秘となり、難治性の麻痺性イレウスを引き起こして、腸の内容物が逆流したり、排便、排ガスが止まったりすることがあります。

対策
便秘の予防と治療の基本は、水分を十分にとるとともに、緩下剤や大腸刺激性下剤などを使って、便を柔らかくしたり、腸の運動を刺激して便通を整えることです。ほとんどの場合、これによって便通をコントロールできます。

しかし、ひどい便秘や肛門部の便が排出できない場合は、坐剤や浣腸を用いたりするのが効果的です。ただし、白血球や血小板が減少している人は、肛門部を傷つけないように注意しましょう。

また、緩下剤的な効果がある薬として、ジノプロストやパンテチンなどを用いたりすることもあります。