下痢が起こりやすい抗がん剤のリストと対策
抗がん剤の副作用として起こる下痢には、腸管内の副交感神経が刺激されて起こる場合と、腸管内の粘膜が損傷を受けて生じる場合に分かれます。
神経的な原因で起こっている下痢は短時間で回復することが多いのですが、粘膜障害が原因で起こっている場合は、粘膜が剥がれ落ち、バリアー機能が低下しているためにさまざまな刺激を受けやすい状態になっています。
そうした状況では白血球も減少傾向にあることが多く、そのことも相まって、敗血症を含めた重篤な感染症が起こることもあります。そのため粘膜障害による下痢が起こった場合には、数日から1週間程度治療を中断し、粘膜の回復を待つことになります。
下痢が起こりやすい抗がん剤
イリノテカン、フルオロウラシル、メトトレキサート、シタラビン、エトポシド、ドキソルビシンです。
とくにイリノテカンは激しい下痢を起こすことがあり、フルオロウラシルの併用療法では高頻度で下痢をきたします。
対策
腸管の安静のために、消化がよく刺激の少ない食品を摂取するようにします。とくに、繊維が豊富な食品は残渣物が多いため、腸管への刺激を増し腸蠕動を高めるので注意を要します。
また電解質のバランスが崩れたり、栄養吸収障害が生じるため、カリウムを多く含んだ食品、高蛋白の食品を選ぶなど、食事内容を工夫する必要があります。
暖かいお茶や常温のスポーツドリンクなどで失われた水分とミネラルを補いましょう。また、腹部が冷えないように、カイロや電気あんか、湯たんぽをタオルなどに巻いて保温します。