吐き気・嘔吐が起こりやすい抗がん剤と対策

多くの抗がん剤に共通する副作用に、吐き気や嘔吐があります。ただし、どの患者にも起こるわけではなく、個人差によって大きく異なるところが特徴です。新しい吐き気止めの開発によって、気持ち悪さをかんじなくなった人もいます。

抗がん剤によって起こる吐き気・嘔吐には、1.抗がん剤投与24時間以内に起こる急性のものと、2.24時間以降に起こる遅延性、そして3.心理的なものの3つに分類されます。治療を行う際は、これらに応じた吐き気止めをセットで用います。

抗がん剤による吐き気に対しては、消化管の吐き気を催す受容体を抑える薬剤(5HT3阻害剤)が使用されてきましたが、2009年には、脳幹の吐き気を催す受容体を抑える「アプレピタント」という薬剤が承認され、より一層吐き気を抑えることが可能になりました。

従来、抗がん剤治療は入院が必須となっていましたが、現在ではほとんどの抗がん剤を外来通院でできるようになりました。その背景には、ほとんどの抗がん剤で起こっていた吐き気という副作用を薬剤で抑えることができようになったためです。

吐き気・嘔吐が起こりやすい抗がん剤
エピルビシンイリノテカンダカルバジンドキソルビシンマイトマイシンシクロホスファミド

対策
治療の前日は消化のよいものを食べましょう。吐き気があるときには胃に負担にならないように脂肪含有の少ない食物を選び、甘味、辛味、臭いの強いものは避けるようします。

治療中に米飯やお粥のにおいで吐き気が増強されることがありますので、そのようなときには、主食をパンや麺類に変えることも有効とされています。しかし、化学療法中の食事は、患者さんが食べたいものを食べたい時に食べるのが基本です。

嘔吐したときは、冷水で口をゆすぐと気分が落ち着きます。嘔吐が続いたら、失われた水分とミネラル(カルシウム、マグネシウムなど)を補うため、スポーツドリンクなどをとるとよいでしょう。

化学療法を受ける前には、今後予測される副作用の出現などの不安な未知の経験を前に、だれもが緊張しています。全身の力を抜いて気持ちを落ち着けることが大切です。

治療中に気持ちが落ち着く音楽を聴くことも、吐き気・嘔吐の改善させる一つの方法です。