多発性骨髄腫で使用する抗がん剤

多発性骨髄腫の治療は、異常な形質細胞を破壊して、病気の進行を遅らせることが目標となります。ただし、抗がん剤を用いる治療は、異常な形質細胞だけでなく、正常な血液細胞も死滅させるので、血液内科医による実施が望まれます。

もっともよく使用される抗がん剤は、メルファラン(アルケラン)もしくはシクロホスファミド(エンドキサン)です。またビンクリスチン(オンコビン)とドキソルビシン(アドリアシン)も有効と考えられています。

また、2006年に分子標的薬のボルテゾミブ(ベルケイド)が承認され、日本でも使用できるようになりました。現在のところ、難治性または再発した多発性骨髄腫で、従来の標準的な治療が効かなかったか、その治療後に再発した人が対象となっています。

そのほか、かつて催奇形性があるために使用禁止となったサリドマイドが、多発性骨髄腫の治療薬として有効であることが証明され、欧米諸国や韓国などで承認され、サリドマイドを含む併用療法が標準的な治療薬となりつつあります。日本では、藤本製薬によって治験が終了し、承認申請が行なわれ、2008年末までに販売が再開される見通しとなっています。

治療に難渋している多発性骨髄腫では、サリドマイド単剤でおよそ35%、ステロイドホルモン剤のデキサメタゾンとの併用でおよそ50%の患者さんに有効性が認められています。

また、他の抗がん剤との併用によって、さらに高い効果が報告されています。したがって、サリドマイドが承認されたなら、難治は再発の多発性骨髄腫に対して、救済治療の第一選択肢になりうると考えられています。