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ベバシズマブ(分子標的薬)

商品名(製造・販売会社)

  • アバスチン(中外製薬)

2007年4月に承認された世界初の血管新生阻害薬で、他の抗がん剤と併用することでよい治療成績が得られています。

がんが増殖するに伴って、がん自身に栄養を供給するために血液を送りこむ血管を新しく作ります(血管新生)。アバスチンは、この血管新生を促すためにがん細胞が分泌するVEGFというタンパク質に結合して、血管の新生を抑え、栄養を行き渡らせないようにして、増殖のスピードを低下させるはたらきがあります。

さらに、がんそのものの異常血管を修復して正常化するはたらきもあります。そうすると抗がん剤ががんに届きやすくなるので、大きな治療効果を得ることができるのです。

適応となるがん
治癒切除が不可能な進行・再発の大腸がん。
欧米では肺がんや乳がんに対しての臨床試験が行なわれ、効果が報告されています。日本国内でも乳がんに対する臨床試験が進行中です。

現在、進行・再発の大腸がんに対して、最初に選択される第一治療として行われているのはFOLFOX療法(フルオロウラシル+レボホリナート+オキサリプラチン)とFOLFIRI療法(フルオロウラシル+アイソボリン+イリノテカン)の3剤併用療法ですが、これにアバスチンを上乗せして使う方法が世界的に推奨されています。

日本でも、FOLFOX+アバスチンあるいはFOLFIRI+アバスチンを第一治療として使う施設が増えています。同じく治癒切除が不可能な進行・再発の大腸がんを対象としたアービタックスが2008年7月に承認されましたが、こちらはFOLFIRIと併用して第二治療として選択されると予想されています。

主な副作用
アバスチンは他の抗がん剤と薬の性格がまったく違うので、先述のFOLFOX、FOLFIRIと併用して使っても、相乗的な副作用が現れ、吐き気が倍増したとか、白血球の減少がひどくなったということはほとんどありません。

ただし、アバスチンに特有の副作用としては出血、血栓症、消化管穿孔、創傷治療の遅延、血圧上昇などが挙げられます。このうち血栓症と消化管穿孔は命取りになりかねない副作用ですが、市販後の全国調査では、それぞれ0.9%と0.4%と低い数値になっています。

使用上の注意点
抗凝固剤を投与している、あるいは血栓塞栓症の既往のある患者さんは出血の恐れがあるので、注意が必要です。

1か月の薬剤費だけで約60万円と高額ですが、保険で認められ、多くは高額療養費制度が適応されるので、患者さんの年収にもよりますが自己負担は月8万円ほどです。