乳がんで使用する抗がん剤

乳がんの化学療法は多くの場合、手術で取り除けなかったがん細胞を殺すために行われます。治療の中心となる手術に追加して行うので「補助療法」と呼びます。

補助療法の登場により、乳がんの再発はかなり抑えられるようになり、手術のみの治療に比べて5〜20%減少しています。

最近では、手術の前にがん病巣を小さくするために化学療法を行うことがあります。これは「新補助療法」といいます。がんが大きくなった患者でも、新補助療法を行うと、乳房温存手術が可能になることがあります。

ほかにも、がんが既に離れた臓器に転移しているときや、再発したときには、化学療法が中心となります。化学療法では普通、何種類かの薬を組み合わせて治療します。標準的な組み合わせは次のとおりです。

CMF療法
シクロホスファミドメトトレキサートフルオロウラシルを組み合わせます。主にリンパ転移のない場合に行います。

CAF療法
シクロホスファミドドキソルビシンフルオロウラシルの組み合わせです。フルオロウラシル以外の2剤を使うものを「AC療法」、ドキソルビシンの代わりにエピルビシンを用いるものは「CEF療法」と呼びます。

そのほか、植物アルカロイドに分類されるタキサン系と呼ばれる種類の抗がん剤で、比較的最近登場したパクリタキセルドセタキセルなどを、単独もしくは前記の化学療法とあわせてよく用います。HER-2陽性の再発・転移性乳がんにはトラスツズマブとパクリタキセルの併用が有効とされています。