前立腺がんで使用する抗がん剤

従来、前立腺がんには抗がん剤が効かないとされ、その治療法は病気や悪性度によって異なりますが、手術療法、トモセラピー小線源療法が注目されている放射線療法、男性ホルモンを低下させてがんの増殖を抑える内分泌療法が中心となっています。

ホルモン剤では、精巣からのテストステロンという男性ホルモンの分泌を抑えるリュープロレリン(リュープリン)やゴセレリン(ゾラデックス)が用いられます。

また、男性ホルモンの働きを抑える抗アンドロゲン剤(フルタミドビカルタミドクロルマジノンなど)、男性ホルモンと拮抗するエストロゲン剤(エチニルエストラジオールホスフェストロール)が使用されています。

抗がん剤では、エストロゲン剤とナイトロジェンマスタードの配合剤であるエストラムスチンが使われることがあります。そのほか、テガフール・ウラシル(ユーエフティー)やペプロマイシン(ペプレオ)が用いられることがありますが、効果は限られています。

しかし、近年の研究ではドセタキセル(タキソテール)という抗がん剤が有効だとわかってきました。他の抗がん剤と併用することで治療効果を上げています。このドセタキセルを使った臨床試験では、6割ほどの患者さんに効果があることが明らかになっています。

生存期間の改善効果は年齢、疼痛(とうつう)の有無、PSA(前立腺特異抗原)の値、全身状態関わらず認められており、なかでも、PSAが高い群、疼痛がない群、全身状態が良い群より高い改善効果が確認されました。

国内でドセタキセルが適応となるのは乳がん、非小細胞肺がん、胃がん、卵巣がん、食道がんで、前立腺がんに対しては2008年4月現在、健康保険が適用されていません。

ただし、追加適応の申請は既になされており、厚生労働省による優先審査項目にも指定されていることから、近い将来適用されると考えられています。